改めて伝えたい「イデコ」のメリット

イデコという老後の為の資産をつくる有効な制度ですが、まだまだ加入できるのに加入していない人が多くいます。「イデコってネットに出てたけど何がいいのか分からない?」「ニュース記事読んだけどむずかしい」など、知りたいけど難しかったイデコの制度を分かりやすくお伝えします。

イデコ3つのメリット

イデコには3つの大きなメリットがあります。主に税金面のメリットです。サラリーマンから自営業者まで大きな優遇があるので必ずチェックしてください。

掛金が所得から控除されます

何のこと?簡単にわかるようにお伝えします。イデコの大きなメリットの一つに「掛け金が所得控除されます」というものがあります。所得控除これがわかりづらい原因です。所得控除されるとどうなるのか?これについて簡単に説明します。

所得控除とは控除された分(掛金分)給与の所得が減って(差し引かれて)、結果所得税や住民税が安くなることです。どうやって控除するかは会社員なら年末調整、自営業者なら確定申告で行います。

例えば給与の総支給額(税金を引かれる前の金額です)が400万円とします。この人が毎月1万円をイデコで掛け金を出したとします。年間の金額は12万円です。この12万円が所得から差し引かれて税金計算されます。すると、元々は所得税が約85,000円だったのに対して約79,000円になります。所得税が年間6,000円安くなりました。同じように住民税も年間12,000円安くなり年間合計18,000円も税金が安くなります。

どうでしょうか。老後の為にイデコを始めるだけで税金が安くなる。とてもいい制度です。これを使わない手はありません。所得控除がお分かりいただけたでしょうか。

儲けた利益分に税金が掛かりません

次は、運用した結果の利益に対しての税金です。儲ける事が出来る利益として、配当金を受け取ったり、投資信託を売った時の差額分の利益があります。通常約20%の税金が引かれるのですが、これが引かれずそのまま受け取れます。

例えば、イデコを毎月1万円ずつ購入していき、10年間経ったとします。投資金額の総額は1万円×12ヶ月×10年=120万円です。その商品を売却したら130万円だったとします。すると、10万円の利益があるという事になります。

通常ならこの利益に約20%の税金が掛かるので、2万円税金が引かれ、手取りは8万円になってしまいます。しかし、イデコの場合は利益分の税金は掛からないので、まるまる10万円受け取れることになります。

60歳以降の受け取る時にも税金が優遇されます

イデコで運用したお金は、老後の為の資金として一時金で受け取ったり、年金のように少しずつ受け取ることが可能です。受け取り方次第では、全額非課税で受け取ることもできる可能性があります。

例えば、60歳以降に一時金で受け取るとイデコのお金は退職金の扱いになり、一定の金額までは非課税で受け取っていいですよという制度があります(退職所得控除と言います)。職場の退職金と合わせて計算する必要がありますが、20年イデコに加入していると800万円まで非課税で受け取れます。

イデコのデメッリトもお伝えしておきます

老後の為のお金を準備するのにとてもよい制度ですが、もちろんデメリットもあります。どのような事がデメリットなのか?3つお伝えしていきます。

引き出して使う事が出来るのは60歳以降しかできません

イデコは原則60歳にならなければお金を引き出して受け取ることが出来ません。なぜか?これは老後の為のお金を準備する制度だからです。よってそれ以前に引き出すことを制限しています。

イデコのお金を受け取れ始める時期というものが決まっています。現在の制度では60歳以降75歳までの間で自分で決めることが出来ます。例えば、運用している投資信託が目減りしていて、もう少し運用したいという事であれば、60歳から受け取る必要はなく、63歳や67歳など価格の値上がりを待ってから受け取ることもできます。

運用している投資信託などが値下がりしてしまう事も

イデコの掛金で投資信託という商品を購入していきます。投資信託はみんなのお金を集めて株や債券に投資する大きな袋のようなものです。この投資信託ですが、たとえば「コロナショック」や「リーマンショック」などが起きてしまうと価格が下がってしまうリスクがあります。あくまで投資なので必ず増えるというものではありません。

しかし、長期間つみたてながら投資すると、株と債券に分散して投資を行った場合などでは、20年以上の場合は今までのデータからはほとんどマイナスになることがありません。

どうしても値下がりするのが「いやだ」という方の為に、定期預金もイデコでは購入する事が出来ます。ですが、金利がほとんど付かない定期預金では、この制度を利用する価値がぐっと下がってしまうと私は思っています。

イデコは金融機関へ運営管理手数料を支払う必要がある

イデコは、証券会社や銀行、信用金庫やJAなど様々な所で行うことが出来ます。ではどこでイデコを始めればいいのか悩みの一つです。実は金融機関によっては月額418円も手数料が違ってきます。年間にすると5016円、20年間で約10万円も多く手数料を支払うことになります。

インターネットの証券会社(SBI証券や楽天証券など)はかかる手数料が最も安くなります。「イデコ手数料金融機関」と検索すれば一覧表が出てきます。金額の違いを是非確認してみてください。

イデコはとにかく早く始めることが重要

イデコのメリット・デメリットをお伝えしてきました。このよい制度を活用するためには出来るだけ早く始めることが一番重要です。

なぜか?それは税金の優遇があり、イデコを始めた方にはこのメリットを受け取ることがすぐに出来るからです。もう一つは、イデコはできるだけ長い期間行うことで、より多くの金額を投資することができ、また長期のつみたて投資の方が、今までのデータからマイナスになる要素が減少するからです。

イデコは掛け金は5千円からできます。毎月の給与の手取りの中から5千円頑張って拠出してみください。「5千円も支払ったらその後の生活が厳しいよ」という方は、自分の生活費を見直して何とか5千円を絞り出してみましょう。

家計は固定費と呼ばれる電話代や生命保険料などを見直すことで改善する事が多くあります。年金がもらえるか将来不安だという方は、自分の力で年金を作っていくしかありません。であれば、出来るだけ早く始めて出来るだけ多くの掛金でイデコを開始しましょう。

瀧澤宏行
山梨でつみたて投資に一番詳しいファイナンシャルプランナーとして、「つみたて投資で資産を10年後に2倍にする3つのポイント」をお伝えしている。主に30代~40代のこれから老後の資産の形成を始めようとしている女性向けに、資産運用の始め方や、運用の方法をアドバイス。ファイナンシャルプランナーとして10年の相談実績と、10年の投資経験を活かしてアドバイスをしている。

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