投資を始める人は、イデコという制度やNISA・つみたてNISAという制度があることが分かるけど、これってどう違うの?私にはどっちがいいの?と、はてなマークが頭いっぱいになることがあると思います。
そんなあなたに制度のメリット・デメリットを具体的に分かりやすく解説します。この記事を読むことで「私にはイデコがまず必要」という方や、「つみたてNISAから始めた方がいい」という方や、「併用することも可能でメリットもある」という事が分かります。
目次
イデコ・NISA・つみたてNISAとは?
それぞれの内容を把握しておくことで、自分に合う投資制度を選ぶことができます。まずは、3つの制度の内容をお伝えします。
イデコって何?
イデコとは、老後の資産を作る為の制度で、公的な年金の補完をするためのものです。正式名称は「個人型確定拠出年金」といいます。
イデコは60歳まで掛金を出して運用していきます。掛け金は職種によって最大12,000円~68,000円までと決まっています。例えば公務員の方は12,000円まで、会社員の多くは23,000まで、自営業者は68,000円となっています。掛け金は5,000円から掛けることができます。
イデコの制度でまず大きなポイントは、掛け金が全額所得から差し引かれる「所得控除」の対象になるという事です。所得が控除(差し引かれる)事によって、最低の税率の人でも所得税・住民税合わせて15%税金が低くなります。運用の利益が無くてもこの部分だけですでにメリットはあります。
また、掛金を運用する商品は定期預金や、保険、投資信託などがあり、取扱金融機関毎に内容が違っています。増えた利益分は非課税になります。通常約20%の税金が利益から引かれますので、非課税になるということは、その分リターンが高くなります。
もう一点は、受け取る時にも一定金額まで非課税で受け取れる制度があるという事です。こつこつイデコで掛金を出し、23,000円×12ヶ月×30年では元金だけで828万円になります。この金額と運用して増えた分を受け取る時に、1,500万円まで非課税で受け取ることができる制度です。
受け取るときの年齢に注意が必要です。最初にもお伝えしましたが、公的な年金の補完をするための制度なので、60歳まで引き出すことができないというのが大きな特徴です。ここはこの後お伝えするNISAやつみたてNISAとの大きな違いです。
ただ、60歳まで受け取れないという事は、老後資金を事前に手を付けられないという事です。逆転の発想で、しっかりと老後のお金を準備できる縛りと思えばメリットでもあります。
NISAって何?
NISAとは正式名称は「少額投資非課税制度」といいます。簡単にお伝えすると、「少額の投資なら、儲かった分の利益に対して、税金はいらないよ」という制度です。
少額ならという事で、年間の投資額が120万円までと決められています。
では、詳しくお伝えしていきます。NISAは年間120万円までの投資で得た利益に対して非課税でよいという制度ですが、投資できる期間は基本5年間となります。この5年の間に価格が上昇して利益が出ている状態だと、この制度を利用したメリットがあります。
価格が上昇していなければ、むしろこの制度を利用したメリットは無いと言ってもよいです。よって、5年間では利益が出なかった場合などの時にも利用できる、更に5年間延長できる制度もあります(ロールオーバーと言います)。
NISAの口座は1人1口座のみ保有する事が出来ます。NISA口座開設後に金融機関の変更も出来ますが、一年に一回限りとなります。
NISAの投資できる対象はイデコ、つみたてNISAと比べて一番多い種類の商品を購入する事が出来ます。日本の株式(トヨタやファナックなど)や外国の株式(アップルなど)なども購入できます。投資信託は口座を開設した金融機関で取り扱っている物全て。リートと呼ばれる不動産への投資商品も購入する事が出来ます。
NISAの口座とつみたてNISAの併用はできません。今年はNISA、来年はつみたてNISAと年ごとに変更することは可能です。
つみたてNISAって何?
つみたてNISAとは、NISAは年間120万円までの少額投資でしたが、年間40万円までのつみたて方式で、少額で投資が始められる「長期・積立・分散投資」を行い、運用して得られた利益が非課税になるという制度です。
つみたてNISAは年間40万円まで投資することができ、最長で20年間運用できます。その際運用で得られた利益はNISA同様非課税になる制度です。
つみたてNISAで購入できる商品は限られています。金融庁が認めた投資信託のみで、2021年12月末時点で約200種類と限定されています。さらに、取扱金融機関によってその中から5種類や20種類、多いところで160種類の商品を取り扱い、どこの金融機関で口座を開設するのかが大きなポイントとなってきます。
購入方法はつみたて方式で、月額33,333円まで投資することができます。一括での購入は基本的には行わない投資方法に限定されています。つみたて購入の設定も一度行ってしまえば、以降は何もしなくても知らないうちに購入しているという「ほったらかし投資」とも呼ばれています。
総額ベースでは、年間40万円を20年間非課税で運用できるという事は、トータル800万円を非課税で運用できるという事になります。かなりまとまっと資金となりますね。
3つの制度の共通点・違っている点
3つの制度の共通している点
3つのつみたて投資が出来る制度ですが共通点があります。まずは、運用して増えた利益が非課税で受け取れるという事です。例えば10万円の利益があったとします。通常は約20%の税金がかかり、手取り額は約8万円になります。しかし、上記3つの制度においては、どの制度も利益分は非課税で受け取れるというメリットがあります。
もう一点は、投資先の対象にどの制度でも投資信託を選ぶことができるという点です。NISAは個別の株式も購入する事が出来ます。イデコは保険や定期預金なども利用可能です。つみたてNISAは投資信託のみが投資の対象です。投資信託を利用して投資することにより、分散して投資をする事が可能になります。
3つの制度の違っている点
違っている点をお伝えします。まずイデコですが、この制度は老後の資産づくりの為の制度です。よって60歳まで引き出して使う事が出来ない制度となっています。一方、NISAとつみたてNISAは非課税で運用できる期間が5年・20年とこちらも違いがありますが、資金が必要になった時はいつでも売却して引き出すことができます。ここが大きな違いになります。
投資できる金額にも違いがあります。イデコは利用する方の職種によって12,000円~68,000円と掛金の金額が違うという点も他の制度と違ってきます。NISAやつみたてNISAは、誰でも口座を開設すれば同じ金額まで投資することができます。NISAは年間120万円まで投資することができます。つみたてNISAは年間40万円まで、月額約33,333円の積み立て方式で購入するという点が他の制度との違いです。
iDeCO | つみたてNISA | NISA | |
---|---|---|---|
引き出し | 60歳まで不可 | いつでも大丈夫 | いつでも大丈夫 |
掛け金 | 5000円~ | 100円~ | 100円~ |
年間の掛金額(運用額)の上限 | 144000円~816000円 | 40万円 | 120万円 |
運用可能期間(引出し可能期間) | 60歳以降 | 20年間 | 5年間 |
税制メリット(所得控除) | 所得控除あり | 所得控除なし | 所得控除なし |
イデコのみ更に税制面での違いもありますのでお伝えします。イデコの掛金は全額所得から控除されます。控除されると何がよいのかというと、その分所得が無かったことになり、所得税・住民税が還付されたり低くなったりします。最低でも掛金の15%は低くなるシミュレーションになります。
まとめ どれを選べばいいの?
まずは、目的別にみていきましょう!
老後資産づくり
老後の為の資産づくりという事であれば、まず第一候補になるのは『イデコ』です。なぜなら、60歳まで引き出す事が出来ないというデメリットでありメリットでもあるこの縛りは重要です。
子育てが一段落した世代の人は、職種によってイデコの掛金は違いますが、掛けられる金額全てをイデコに投入してもよい位です。40~50代の方達です。その時の収入もある程度あると思います。
収入が高い人ほど、イデコの所得控除というメリットを最大限生かせるようになります。最低でも所得税・住民税で15%軽減できるメリットがありますが、33%位の方も多くいます。そういった方はまずイデコの枠を使い切りましょう!
次にイデコを利用した後で、まだ家計に余力がある40~50代の方は、『つみたてNISA』を利用して老後資金の上乗せを狙いましょう!仮に50歳だとすると、60歳までに年間40万円×10年で400万円の元手で運用することができます。
また、昨今は定年退職の年数が65歳までに延長されてきています。仮に65歳まで年間40万円×15年で600万円の元手で運用することができます。この金額を、年間5%の利回りで運用できたとすると約891万円になります。運用益約291万円が非課税で受け取れます。
厚生年金とイデコの年金とつみたてNSIAの890万円、この金額を併せて受け取ると仮定したときに、老後2,000万円問題にどの位対応できているかがカギとなります。
また、ある程度まとまった資金があるという方は、NISAを利用する候補となります。紹介してきた制度ですが、値上がりした時に威力を発揮する制度です。という事は、今後5年間で1万円値上がりするより100万円値上がりする方がこの制度のメリットを最大限利用できることになります。
よって、まとまった資金がある人がNISAで投資する時には、今後の値上がり幅が大きくなりそうな投資先へ投資するのも有効な手段になります。例えば新興市場の個別株式投資などです。新興市場の株式は短い期間で10倍になるような銘柄もあります。逆に10分の1になるような銘柄もあります。
しかし、ある程度まとまった資金という事であれば、その銘柄が値下がりしたことによる資産全体への値下がりの影響は、それほど大きくないと思います。100万円が20%値下がりして80万円になったとしても、1000万円保有していた人にとっては全体の資産の2%の値下がりという事になります。
この様にして、制度を使い分けて老後資産をより多く用意できるよう活用したい所です。
住宅購入費・教育資金
若年層の方達はどうでしょうか?
20代~30代の結婚前や結婚後お子さんが小さい時期などは、第一候補はつみたてNISAになります。なぜかというと、今後必要となる支出が多くあるからです。住宅購入費や教育資金、車の購入など様々な支出が考えられます。その支出に引き出すことの出来ないイデコを利用するのは第一候補ではありません。いつでも売却し引き出すことのできる制度を利用しましょう。
この世代の方は、まとまった資金を運用するといったニーズより、月々の手取り給与の中から運用資金を出していくという方が多いと思います。そういった方は月額約3万円まで投資できるつみたてNISAが一番利用しやすい制度ですね。
また、児童手当を学資保険に入れるのではなく、つみたてNISAでつみたて投資をして、将来の学費に充てるのもよい方法です。投資期間が15年近くあると、つみたて方式の投資においてはトータルでマイナスになる確率が大幅に減少します。(過去実績から)
まずは出来る範囲でよいので、投資をスタートさせることをお勧めします。
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